ホーム>審査委員長あいさつ

審査委員長あいさつ

37回の審査を終えて

久 隆浩 審査委員長

 本年の審査対象60 件(建物57 件、まちなみ3 件)から、例年通り審査資料にもとづいた1 次審査で12 件を選出し、現地審査による2 次審査を行った。今年度、大阪府知事賞、大阪市長賞、審査員特別賞、そして緑化賞に選ばれた作品は、いずれも既存建築物や既存空間の改築・改修物件である。人口減少時代に入り、新たなモノをつくる時代から既存のストックを活用する時代へという都市開発のパラダイム転換がここにもあらわれているといえるのではなかろうか。

 大阪市長賞を受賞した新ダイビルは、従前、建物の屋上に立派な森をつくっており、中之島という都心部にあって、都市生態系を構築する重要な役割を担ってきた。これを継承するため、今回の建て替えの際には、工事期間中樹木を箕面市で養生し、改築後は外構空間に移植を行っている。また、旧建物に設置されていた羊のモニュメントも外構に移設され保存されている。大阪府知事賞を受賞したダイキン工業テクノロジー・イノベーションセンターは、創業地である摂津市の南部、淀川製作所の玄関口につくられている。工業系の土地利用が多いこの地域の景観の質を大きく向上させることに貢献している。とくに、「TIC の森」と呼ばれる森には、高木1,100 本、中木8,000 本が植えられ、地域住民にも開放されるなど、地域の緑のシンボルとなっている。審査員特別賞を受賞した枚方T-SITE は、近鉄百貨店を核店舗とした再開発ビルのリノベーションである。商品陳列のために閉鎖した壁面になりがちな商業施設にあって、全面ガラスのファサードにするなど大胆なデザイン変更を行っており、駅前の景観を大きく変貌させた。キューブ状に張り出 した複数のテラスが未来志向の景観を創り出している。緑化賞を受賞したてんしばは、天王寺公園のエントランス部分の改修である。つくられた店舗群が天王寺駅前のにぎわいを巧く公園へと誘ってくれる。

 改築・改修の際には、既存空間の特性を継承し、さらに新たな価値を付加する作業が求められるが、受賞した作品はそれを巧く行っていた。こうした作品がこれからも増え、大阪のまちなみが向上していくことを期待したい。

Adobe_Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧頂くには“Adobe_Reader”が必須です。
Adobe_Readerは、Adobeのホームページから無料でダウンロードできます。
(新規ウィンドウで開きます。)

本文内容はここまでです。これより下は、大阪都市景観建築賞運営委員会の案内情報(主催、住所、Copyright)です。また、本文にジャンプします。